
「捨てられない」は老化ではなく、時代の話だった
久しぶりに実家に帰るたびに、玄関が少し狭くなっている気がする。
和室には昔の雑誌や紙袋が積み上がり、台所の棚には使わない鍋や食器がぎっしり。押し入れを開けると、いつ買ったかわからない健康器具や贈り物の箱が奥まで詰まっている。
「なんでこんなに増えるんだろう」と不思議に思っていたが、よく考えると当たり前のことだった。親たちは物が少なかった時代に育ち、「もったいない」が染み込んでいる世代だ。使えるものを捨てることへの抵抗感が、私たちとはまるで違う。
加えて、体が動きにくくなると重いものが持てない、高い場所に手が届かない、しゃがむのがつらいという理由で、片づけが後回しになる。モノは増え続けるのに、減らす手段が失われていく。
散らかった家が招くリスク
「多少散らかっていても、本人が気にしないならいいじゃないか」と思うかもしれない。でも高齢者にとって、片づいていない家は思った以上にリスクが高い。
① 転倒・骨折の危険 床に置かれた荷物、めくれたマット、コードの束。高齢者の転倒事故の多くは、自宅の中で起きている。骨折は寝たきりのきっかけになることも多く、家の中の「つまずき」を減らすことは介護予防に直結する。
② 衛生面の悪化 体力が落ちると、掃除機をかける・換気をする・水回りを洗うといった作業が後回しになる。カビ・ほこり・害虫の発生は、呼吸器疾患や感染症リスクを高める。
③ 火災のリスク 紙類や布類が積み上がった部屋は、万一のときに火が回りやすい。また、換気扇やガスコンロ周りの汚れが蓄積すると出火の原因にもなる。
④ 精神的な影響 散らかった空間は、本人の気持ちを知らず知らず圧迫する。片づいた部屋で過ごすほうが、気持ちが落ち着いて生活の意欲も出やすい。
「自分でやればいい」が難しい理由
わかってはいる。帰省のたびに少しずつ手伝えばいい。でも現実はなかなかそうはいかない。
遠方に住んでいれば年に数回しか帰れないし、帰っても親と「捨てる・捨てない」で口論になることも少なくない。「これはまだ使える」「思い出があるから」という親の言葉に、強く踏み込めないまま時間が過ぎていく。
また、大人2人がかりで丸一日かけても、実家の片づけはなかなか終わらない。気づけば帰省の時間がほとんど「掃除と口論」で終わってしまった、という話はよく聞く。
掃除代行・片づけサービスを使う選択肢
そこで見直したいのが、プロのサービスを使うという選択だ。
掃除代行サービスは、水回りの清掃・床掃除・窓拭きといった定期的なハウスクリーニングを依頼できる。週1回や隔週など、スケジュールを組んで継続利用するケースが多い。高齢の親が「自分では届かない場所」「体力的にきつい作業」をプロに任せることで、衛生的な環境を保ちやすくなる。
片づけ・整理収納のサービスでは、モノの仕分けや不用品の処分まで対応してくれる業者もある。「捨てる判断は本人がする、でも動く作業はプロに任せる」という形なら、親の気持ちを尊重しながら整理を進めやすい。
親本人が「誰かに頼むのは恥ずかしい」と思っている場合は、「私が頼んだプレゼント」という形で導入すると受け入れてもらいやすい。
まとめ:きれいな家は、安全な暮らしの土台
実家の片づけは、感情が絡み合う難しい問題だ。でも「きれいな家で安全に暮らしてほしい」という気持ちは、親も子も同じはずだ。
自分たちだけで抱え込まず、プロの力を借りることは、決して「手を抜くこと」ではない。むしろ、親が長く自宅で暮らし続けるための、現実的な選択肢のひとつだと思っている。


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